巨万の富を築いた著名人の死に伴い、常に世間の耳目を集めるのが「遺産相続トラブル」です。細木数子氏の場合、出版物の累計発行部数は1億冊を超え、毎年の印税収入だけでも数億円規模、さらに都内一等地の不動産や京都に建設した推定70億円とも言われる寺院・別邸など、遺産総額は数十億円から百億円規模に達すると目されていました。
にもかかわらず、彼女の死後に骨肉の争いやお家騒動が一切表面化しなかった理由は、生前における徹底した法的手続きと事業承継の完了にありました。その中核となったのが、妹の長女である姪・かおり氏との「養子縁組」です。
かおり氏は幼少期から細木氏に可愛がられ、実質的な母娘同然の関係を築いていました。細木氏は70代に入ると、一代で築き上げた「六星占術」ブランドを個人事業のまま終わらせず、持続可能なファミリービジネスへ転換することを画策。2014年にかおり氏と正式に養子縁組を結び、戸籍上の実子(第一順位の法定相続人)としました。
さらに2016年からは、かおり氏を「六星占術の継承者」として公式にメディアや講演会で紹介し始め、鑑定業のノウハウだけでなく、関連会社(事務所)の代表権や商標権、著作権の管理を一元的に移管していきました。血縁関係の複雑な親族が介入する余地を法的・経営的に完全に排除したこの手法は、資産家による終活の極めて洗練された成功事例と言えます。