首都高を語る上で避けて通れないのが、長年ドライバーたちから「魔のカーブ」と恐れられてきた事故多発地点の存在と、深夜の無法地帯を生み出す危険走行者の問題です。
都心環状線の霞が関付近、江戸橋JCT、三宅坂JCT、あるいは4号新宿線の参宮橋カーブなどは、高速道路でありながら直角に近い急旋回を要求されます。とりわけ参宮橋付近のカーブは半径約88mという極小設計であり、路面が雨水で濡れている状況では、少しでもオーバースピードで進入すれば遠心力によって車体がアウト側の側壁へ吸い寄せられます。ガードレールに刻まれた無数の擦り傷やへこみは、この場所でスピンや激突事故が日常的に繰り返されてきた生々しい痕跡に他なりません。
こうした構造的トラップに加え、長年にわたり治安上の脅威となってきたのが「首都高ルーレット族事故」です。都心環状線や湾岸線をサーキットに見立て、深夜の空いた時間帯に極限のスピードで周回タイムを競い合う違和集団は、警察の取り締まり強化によって一時期下火になったものの、車両性能の向上とともに形を変えて残存しています。制限速度を大幅に超過した暴走車両が一般車の間を縫うようにすり抜け、操作を誤って大破する事案は、何の落ち度もない一般ドライバーを巻き込む大惨事へと直結します。
警視庁高速道路交通警察隊は、移動式オービスの神出鬼没な設置や辰巳第一パーキングエリア・大黒パーキングエリアなどの閉鎖措置を連動させ、包囲網を敷いています。しかし、違法競走用車両が引き起こす急な進路妨害や破片の飛散は、後続車にとって予期せぬトラップとなります。深夜から未明にかけての首都高を利用する際は、ルームミラーを頻繁に確認し、異様な接近を見せる後続車には速やかに進路を譲る防衛姿勢が自らの命を守る鍵となります。