顎先に現れるデコボコとした梅干しジワの正体は、下唇のすぐ下から顎の先端に向かって伸びる「オトガイ筋(頤筋)」の異常な収縮です。オトガイ筋は本来、下唇を上に押し上げたり口元を閉じたりする際に働く筋肉ですが、日常的に過度な負荷がかかると常に緊張状態(拘縮)に陥り、皮膚を内側に強く引き込んでシワを形成します。
オトガイ筋が過緊張に陥る背景には、主に3つの力学的・習慣的要因が存在します。
第一に、「口ゴボ(上下顎前突)」や下顎の後退といった骨格的要因です。前歯が前方に突き出ていたり下顎が小さかったりすると、意識して力を入れなければ上下の唇を閉じることができません。無理に唇を閉じようとするたびにオトガイ筋へ強力な力が入るため、若年層であっても深いシワが刻まれやすくなります。横顔の美しさの指標とされる「Eライン(エステティックライン)」が乱れている場合、顎の梅干しジワが併発する確率は極めて高くなります。
第二に、口呼吸や安静時の「舌の位置」の異常です。正常な状態であれば、舌先は上顎の前歯裏側にある「スポット」と呼ばれる窪みに密着しています。しかし、口呼吸の習慣や舌の筋力低下によって舌が下顎に落ちる「低位舌」になると、口周りの筋肉バランスが崩れ、下唇を引き上げるオトガイ筋ばかりに過剰な代償動作が発生します。
第三に、日常的な噛み締めやスマートフォンの長時間使用です。画面を凝視する際の前傾姿勢は無意識の食いしばりを生み、咬筋だけでなくオトガイ筋まで連動して硬直させる要因となっています。