SNSや料理コミュニティでは「ポトフはとにかく弱火でコトコト何時間も煮込めば美味しくなる」という言説が広まっていますが、これは春キャベツにおいては明白な誤解です。
長時間の加熱は、春キャベツ特有のみずみずしい芳香(ジメチルスルフィドなどの揮発成分)を完全に飛ばしてしまい、特有の青臭い煮詰まり臭へと変化させてしまいます。また、加熱時間が20分を超えると、キャベツのクロロフィル(葉緑素)がフェオフィチンへと退色し、食欲をそそる鮮やかな黄緑色がくすんだ茶褐色に変色してしまいます。
「時間をかけて煮込むのは根菜と肉類だけ、春キャベツは食べる直前の短時間加熱で仕上げる」という明確な役割分担を意識することが、家庭料理をプロのクオリティに引き上げる決定的な分水嶺となります。