こち亀のゲーム回を振り返る上で最も驚嘆すべきは、両津勘吉の金儲けの企みが10年〜20年後のゲームビジネスを正確に予言していたという点です。
例えば、基本プレイを無料にしつつ特定の強力アイテムや美少女キャラクターの衣装を有料で販売する「アイテム課金・ガチャビジネス」に類似した発想を、両津は1990年代後半の時点で既に実践していました。また、プレイヤーの位置情報をトラッキングして現実の街全体をゲーム盤に見立てる企画は、後の『位置情報ARゲーム』そのものです。
「既存のゲームをパクって手軽に儲ける」という両津の浅はかな動機から始まったはずのアイデアが、結果としてゲームのデジタルシフト、インディー開発の民主化、VR(仮想現実)の普及といった未来のテクノロジートレンドを先取りしていたことは、こち亀という作品が持つ比類なき情報収集力と洞察力を物語っています。