『クローズ』の最終回において、最も読者に衝撃を与えたのが主人公・坊屋春道の唐突なフェードアウトでした。卒業式を目前に控えたある日、春道は仲間たちに挨拶を交わすこともなく、ふらりと街を去ってしまいます。
彼が姿を消した直接的な理由は、極めてシンプルかつ彼らしい「出席日数不足による留年確定」でした。後輩の花澤三郎(ゼットン)たちが進級するなか、ひとり学校に残ることを潔しとせず、身一つで新たな風が吹く場所へと旅立ったのです。湿っぽい別れを嫌い、誰かに見送られることすら拒んだ去り際は、まさに「一羽のカラス」そのものでした。
気になる「その後の行方」について、作者である高橋ヒロシ氏は明確な居場所を本編で描いていません。しかし、後日談を描いた外伝や各種インタビューの文脈を辿ると、どこかの街で相変わらずパチンコを打ち、美味いラーメンを啜りながら、気ままな生活を送っている姿が示唆されています。特定の組織に属さず、誰の風下に立つこともない春道にとって、街を去ることは悲劇的な別れではなく、彼が彼であり続けるための必然的な通過儀礼でした。