このフレーズの汎用性の高さは、ヒップホップにとどまらず、K-POPの世界的な躍進においても鮮やかに証明されています。その象徴的な実例が、アジアを代表する2大トップグループの作品です。
まず金字塔として挙げられるのが、ターンイットアップ BIGBANGのT.O.Pが2010年に発表した伝説的なソロデビュー曲『TURN IT UP』です。重厚なベースラインに乗せて放たれる「Turn it up」のリフレインは、単なるパーティーの掛け声ではなく、「自分の音楽でシーンをひっくり返す」「俺のスタイルを刮目して聴け」というクリエイターとしての強固な自信と宣戦布告を意味していました。ミュージックビデオで見せたストイックな視線とともに、言葉が持つアグレッシブなカリスマ性を決定づけた好例です。
一方で、ガールズグループの頂点を走り続けるTWICEの楽曲『TURN IT UP』(2019年発売のアルバム『FANCY YOU』収録)では、まったく異なる表情を見せます。メンバーのサナが自ら作詞を手掛けたターンイットアップ TWICE歌詞のコンテクストでは、ステージと客席を隔てる境界線を溶かし、「もっと大きな音で私たちの歌を響かせ、一緒に夢のような時間を過ごそう」という純粋な多幸感と連帯の呼びかけへと変換されています。
同じフレーズでありながら、ヒップホップの文脈では「個のプライドの誇示」として、ポップスの文脈では「ファンとの祝祭的な連帯」として機能する――この多角的な表現力こそが、国境を越えてトップアーティストたちに選ばれ続ける理由です。