患者を最も悩ませるのが、ゴムかけ開始直後に生じる痛みです。この痛みが発生する理由と、着用期間のタイムラインを把握しておくことで、精神的な負担を大幅に軽減できます。
ゴムを装着すると、歯と歯槽骨の間にあるクッションのような組織「歯根膜(しこんまく)」が強く圧迫されます。この圧迫によって局所的な血流障害とプロスタグランジンなどの発痛物質が放出され、締め付けられるような鈍痛や、噛んだときの激痛が生じます。この痛みのピークはゴムかけ開始後24時間〜72時間(2〜3日)であり、組織の代謝が適応するにつれて1週間程度で自然に和らいでいきます。
痛みを理由にゴムを外してしまうと、歯根膜への負荷が「圧迫→解放→再圧迫」と繰り返され、いつまでも痛みに慣れない悪循環に陥ります。痛みが強い場合は、担当医に相談の上で市販の鎮痛剤(アセトアミノフェンやイブプロフェン等)を一時的に服用し、ゴムを外さずに耐えることが早期適応の鉄則です。
ゴムかけを装着する期間は、症例の難易度や骨の動きやすさによって異なりますが、一般的には3ヶ月〜1年程度にわたることが大半です。噛み合わせが計画通りに緊密化すればゴムのサイズが細くなったり、夜間のみの装着に移行したりと、段階的に負担が減っていきます。