幼児期以降や大人の手術で最も多い不満が、「手術を終えたのにサ行やタ行、ラ行の滑舌が改善しない」というものです。舌の短縮を物理的に解除することは、あくまで舌が正しく動くための基礎条件を整えたに過ぎません。上あごに舌先を吸い付ける力や、音を正しく響かせるための筋肉の協調運動は、別途再教育する必要があります。
そこで鍵を握るのが、ことばの専門家である言語聴覚士(ST)のサポートや、口腔筋機能療法(MFT)と呼ばれる舌トレーニングです。舌を前方や上方へリズミカルに動かす訓練を地道に重ねて初めて、明瞭な発音が身につきます。「手術はトレーニングをスタートさせるための準備段階である」という正しい認識を持っておくことが、落胆を防ぐ最大の防御策です。