目に見えない超微小粒子が体内に侵入した際、人体にはどのような異変が生じるのでしょうか。PM2.5は髪の毛の太さの約30分の1以下という極微小なサイズであるため、鼻腔や喉の粘膜で捕集されず、肺の最深部にある肺胞まで直接到達します。さらに一部は血管壁を通過して全身の血液循環へと入り込みます。
医療機関の呼吸器内科で指摘されている代表的な大気汚染健康被害症状は以下の通りです。
- 気道・呼吸器系の炎症:喉の痛み、原因不明の空咳、痰の絡み、既存の気管支喘息の急激な悪化。
- アレルギー疾患の増悪:花粉症の症状が重症化。黄砂やPM2.5が花粉粒子と結合して粉砕され、アレルゲンが体内に侵入しやすくなる「アジュバント効果」。
- 目や皮膚の刺激症状:光化学オキシダントによる結膜炎症状(目のチカチカ、強いかゆみ、涙が止まらない)、皮膚の赤み。
- 循環器系への長期的負荷:微粒子が血管内に侵入することによる微小炎症、動脈硬化の促進、心筋梗塞や脳卒中の急性発症リスクの上昇。
日本呼吸器学会や疫学研究の報告によれば、日常的な短時間の曝露であれば健康な成人が直ちに重篤化するリスクは低いものの、肺機能が未発達な乳幼児や慢性閉塞性肺疾患(COPD)を抱える高齢者では、PM2.5濃度が35μg/m³を超えた日に入院率や救急搬送数が増加する相関が明確に確認されています。