ブームの火付け役となったのは、あるインディーズアーティストによるアコースティック・カバー動画だった。2026年夏、その動画がTikTokで瞬く間に拡散され、累計再生回数は数百万回を突破。これを機に、オリジナル版である太田裕美の音源へと回帰するリスナーが急増したのだ。
サブスクリプションサービスのバイラルチャートには、数十年前の楽曲が平然とランクインする時代になった。しかし、「九月の雨」の浸透力は群を抜いている。スマートフォンの画面越しに流れる、どこか湿り気を帯びた歌声と、現代のJ-POPには見られない独特の言葉選びが、タイパ(タイムパフォーマンス)を重視する若者たちの足を止めさせた。