ネット上の掲示板やSNSでは、デカ盛り店に対して「どうせ大味で途中で飽きるのではないか」「ただ蕎麦を茹でて山盛りにしただけだろう」といった偏見が散見されます。しかし、旭庵甚五郎の実態はそのような短絡的な評価とは大きくかけ離れています。
同店のツユは、創業以来守り続けられている秘伝のかえしを用い、かつお節や宗田節を惜しみなく使って濃厚な出汁を引いています。だからこそ、400gを超える大量の蕎麦を手繰り続けても最後までツユが水っぽく薄まらず、力強い出汁の香りが持続する設計になっているのです。
また、揚げ物に使用する油の管理も徹底されており、カツ丼の衣は最後まで香ばしさを失いません。大量に提供する店だからこそ、一口ごとの満足感と食べ飽きさせないバランスが緻密に計算されています。「量が多いだけの店」が飲食の激戦区で何十年も生き残ることは不可能です。旭庵甚五郎の長寿と繁盛は、職人的な基本の徹底の上に成り立っています。