インターネット上や育児系インフルエンサーの投稿には、科学的根拠を欠いた「肌トラブル対策」が未だに数多く散見されます。それらを鵜呑みにした結果、症状を重篤化させて小児科へ駆け込む事例が後を絶ちません。現場の医療従事者が警鐘を鳴らす3つの決定的な誤解を是正します。
最大の誤解は、「赤ちゃんの肌には何も塗らないほうが自然治癒力が高まり、強い肌に育つ」という言説です。近年の小児アレルギー研究において、皮膚のバリア機能が壊れた湿疹部位からアレルゲンが侵入することで、食物アレルギーや喘息を発症する「経皮感作」の危険性が確固たる事実として証明されました。生後早期から保湿剤で皮膚バリアを人工的に補強することは、単なる美肌ケアにとどまらず、将来のアレルギーマーチを予防するための重大な医療的防壁なのです。
2つ目は、「ステロイド外用薬は副作用が恐ろしいから、目の周りには絶対に塗ってはいけない」という極端なステロイド恐怖症です。確かに、眼瞼周囲への強いステロイドの長期連用は、眼圧上昇(緑内障)や白内障のリスクをゼロとは言えません。しかし、専門医の指導のもとで短期間(数日から1週間程度)ごく弱いクラスのステロイドや非ステロイド性消炎薬を適切に使用し、一気に炎症の火を消すアプローチのほうが、何週間も炎症を放置して赤ちゃんに掻き壊させるよりも遥かに安全で、リスクを最小限に抑えられます。
さらに、「母乳を目やにやまぶたに垂らすと殺菌作用で治る」という昭和の民間療法を盲信することも極めて危険です。母乳には免疫成分が含まれる一方で、豊富な栄養分は雑菌の格好の温床となり、角膜の細菌感染症を誘発する重大な医療事故へと直結します。