好調なチームには常に「メディアによる過大評価ではないか」「一時的な勢いに過ぎない」という懐疑論がつきまといます。ネット上やSNSでも「EUROのサプライズ枠に過ぎない」といった冷ややかな見方が一部で見られました。しかし、現地オーストリアの報道やヨーロッパ各国のサッカー論壇を精査すると、そうした疑念は的外れであることが浮き彫りになります。
オーストリアの有力紙『ヘウテ(Heute)』や『クローネ(Kronen Zeitung)』の論調を追うと、過去の代表チームに対する熱狂とは明らかに質が異なっています。かつては「アラバの個人技頼み」と揶揄され、大舞台で勝てないチームに対する諦観がファンの間に漂っていました。しかし現在は、「どの選手が出ても戦術強度が落ちないチーム全体の規律」に対して、専門家やサポーターから絶大な信頼が寄せられています。
実際に、かつてバイエルン・ミュンヘンから巨額の年俸提示を伴う監督就任オファーが届いた際、ラングニック監督は「オーストリア代表で始めたプロジェクトを道半ばで捨てることはできない」として固辞しました。この指揮官の誠意ある決断は、国民と選手たちの心を強烈に結束させました。現地スタジアムでは「我々の心はラングニックと共にある」というコレオグラフィーが掲げられ、いまや国中がチームの進撃を後押しするポジティブな熱狂に包まれています。