2022年3月16日深夜に発生した福島県沖地震(仙台市青葉区で震度5強を観測)は、仙台城跡に鎮座する伊達政宗公の騎馬像にも激震をもたらしました。激しい横揺れにより、像全体が東側(右側)へ約16度大きく傾斜。馬の右前脚のつなぎ目には亀裂が生じ、一時は倒壊すら危ぶまれる緊迫した状況に陥ったのです。
仙台市および文化財修復チームは即座に保護措置を取り、2022年7月、騎馬像は半世紀ぶりに台座から慎重に取り外されました。移送先に選ばれたのは、大型ブロンズ像の修復技術で国内屈指の実績を誇る東京都調布市の専門工房です。当時の修復関係者が「後世に遺すため、ミリ単位の歪みも妥協できない過酷な作業だった」と現場取材で語った通り、作業は三次元計測(3Dスキャン)を駆使した極めて緻密なものでした。
修復工事では、破損した脚部の接合にとどまらず、将来の大地震に耐えうる根本的な耐震補強が施されました。馬の内部に高強度のステンレス製心棒を新たに貫通させ、台座の基礎アンカーボルトと強固に緊結。さらに表面の錆や汚れを丁寧に除去し、建立当時の重厚な黒褐色ブロンズの風合いを蘇らせる保護塗装が施されました。
2023年3月下旬、約1年ぶりに杜の都へ帰還した騎馬像は、同年3月31日に行われたお披露目式を経て完全に復活。2026年の現在に至るまで、びくともしない堅牢さと研ぎ澄まされた威厳を保ち、国内外から訪れる年間100万人規模の観光客に勇気を与え続けています。