物語の幕開けは、山形県天童市の山中で発見された身元不明の白骨死体です。遺体とともに埋められていたのは、全国にわずか数組しか現存しない幻の名駒、初代「菊水月(きくすいげつ)」作の高級将棋駒でした。この極めて貴重な遺留品を手がかりに、ベテラン刑事の石破と、かつて奨励会でプロを目指して挫折した若手刑事の佐野直達が捜査を開始します。
捜査線上に浮かび上がったのは、彗星のごとく将棋界に現れた若き天才棋士・上条桂介。彼は幼少期からのエリート養成機関である「奨励会」を経験せず、実業界で成功を収めた後にプロ入りを果たした異例の経歴の持ち主でした。世紀のタイトル戦「竜昇戦」で頂点に君臨する当代最強の棋士・壬生芳樹に挑む桂介の緊迫した指し手と並行し、刑事たちの地道な捜査によって彼の血塗られた過去が次第に白日の下に晒されていきます。