漢字の成り立ちだけでなく、食材としての鯵の実力も極めて優秀です。日本近海で水揚げされるアジの主軸は「マアジ(真鯵)」であり、回遊型と瀬付き(居着き)型の2つのタイプに大別されます。
アジの最も美味しい旬の時期は5月〜8月の初夏から夏にかけてです。この時期のマアジは産卵を控えてプランクトンを豊富に捕食するため、体内に上質な脂をたっぷり蓄えます。大分県の「関アジ」や島根県の「どんちっちアジ」など、地域ブランドとして全国区の評価を得ている個体も、この時期に抜群の脂乗りを見せます。
栄養面においても、現代人に不可欠な成分がぎっしり凝縮されています。
- DHA(ドコサヘキサエン酸)・EPA(エイコサペンタエン酸):血液をサラサラに保ち、生活習慣対策に役立つオメガ3系脂肪酸。
- 良質な動物性タンパク質:筋肉や皮膚の生成を助け、代謝を維持。
- ビタミンD・カルシウム:小骨ごと食べられるアジフライや南蛮漬けで効率よく摂取可能。
- タウリン:肝機能のサポートや疲労回復を助けるアミノ酸の一種。
刺身やなめろう、タタキといった生食から、塩焼き、フライ、干物に至るまで、どんな調理法でも旨味が際立つ万能性は、まさに日本の国民的魚と呼ぶにふさわしい存在です。