都会へと旅立った子どもを想う親の視点を描いた『案山子』。「元気でいるか」「金はあるか」「今度いつ帰る」――短い言葉の端々に滲む無償の愛。故郷を離れて暮らす若者だけでなく、子を持つ親の立場になった人々からも「イントロを聴くだけで涙が止まらない」と評される。誰もが自分の家族の姿を重ね合わせてしまう魔法がここにある。
一方で、12分半にも及ぶ大作『親父の一番長い日』は、妹の誕生から結婚式当日に至るまでの兄の視点と父親の葛藤をドラマチックに描き出す。笑いと涙が交錯する一大叙事詩は、家族という絆のあたたかさと切なさを極上のエンターテインメントへと昇華させた。言葉の力だけで一本の映画を観たような深い余韻を残す。