本作のベースとなったのは、社会派ミステリーの名手・真保裕一が手掛けた同名小説です。映画版は原作の緊迫感あふれる骨格を忠実に再現しつつも、2時間の映像作品としてのエンターテインメント性とドラマ性を高めるためのアレンジが施されています。
原作小説では、警察側の緻密な捜査プロセスや永田町のドロドロとした権力闘争、官僚機構の力学が極めて詳細に書き込まれており、群像劇としての側面が強く押し出されています。一方、映画版では主人公・晄司の主観的な視点と行動力に焦点を絞り、家族の絆と父子の対立というエモーショナルなドラマが前面に押し出されました。
また、犯人側の動機に至るバックストーリーや人間関係の整理、クライマックスにおける記者会見の演出など、映画ならではのダイナミズムを強調する改変が行われており、原作読者であっても新鮮なスリルを味わえる構成に仕上がっています。