昭和歌謡の歴史を塗り替えた「六・八トリオ(永六輔・中村八大・坂本九)」。世界的大ヒットとなった『上を向いて歩こう』に続き、1962年にNHKの人気バラエティ番組『夢であいましょう』の「今月のうた」として世に送り出されたのが『遠くへ行きたい』です。
この名曲が生まれた背景には、当時多忙を極めていた作詞家・永六輔の個人的な旅の体験がありました。全国各地を精力的に巡り、名もなき土地の人々と触れ合う中で感じた「日常の喧騒から逃れ、自分自身を見つめ直したい」という切実な想いが、素朴で飾り気のない筆致で詩に落とし込まれました。
そこに中村八大が付けた旋律は、極めてシンプルでありながら、どこか物悲しく、同時に温かい希望を滲ませる絶妙なコード感を持っています。二人の天才が持ち寄った感性が共鳴し、時代が移り変わっても色あせないエバーグリーンな楽曲が完成しました。