アイスクリーム業界にまつわる情報には、ネット上でまことしやかに囁かれる多くの誤解や先入観が存在します。その最たるものが「アイスクリーム店は夏しか儲からない」という固定観念です。
実際には、真夏の猛暑日(気温35度以上)になると、人間は乳脂肪分の高い濃厚なアイスクリームを敬遠し、氷菓や清涼飲料水へと流れる傾向があります。店舗関係者へのヒアリングによると、最も客単価が高く利益率の高い濃厚系アイスやプレミアムパフェが最も売れるのは、実は気温20〜25度前後の春・秋、および暖房の効いた冬期です。季節ごとの売上変動を見越し、秋冬に温かい焼菓子やスペシャリティコーヒーをセット販売する店舗設計が現在のスタンダードとなっています。
また、全国各地の道の駅や観光地で独自の進化を遂げたご当地アイスクリーム有名店一覧を調査すると、地方都市こそがイノベーションの震源地である事実が浮かび上がります。
北海道の濃厚なミルク系はもとより、静岡の極限まで濃さを追求した抹茶ジェラート、高知の伝統的なアイスクリン、沖縄の紅イモや塩バニラなど、地域資源と直結した店舗は競合が極めて少なく、驚異的な営業利益率を叩き出しています。都市部で流行を模倣する店舗が数年で姿を消すのに対し、ご当地の強みを活かした名店は20年以上にわたって黒字経営を継続しており、流行に流されない堅実なビジネスモデルの代表例と言えます。