ネット上の受験掲示板やSNSでは、何年も前の古い入試情報をもとにした偏見や俗説がまことしやかに語り継がれています。その最たるものが、「世界史が嫌なら日本史を選べば世界史の知識は一切不要になる」という誤解です。
2025年度入試より施行された新学習指導要領によって、大学入学共通テストおよび各大学の個別入試では、歴史科目の枠組みが「歴史総合+日本史探究」「歴史総合+世界史探究」へと刷新されました。この「歴史総合」は、近代化、大衆化、グローバル化を軸に、日本史と世界史の近現代を融合して学ぶ必修科目です。つまり、日本史探究を選択した受験生であっても、19世紀以降のアヘン戦争、第一次世界大戦の講和条約、世界恐慌の波及メカニズムといった世界史の基幹知識を避けて通ることは不可能になりました。
また、「国公立文系で日本史・世界史の両方を選択するのは無謀」という言説についても、2026年の視点では再考が必要です。東京大学文科類や京都大学総合人間学部など、二次試験で地歴2科目を課す最難関大を目指すトップ層の間では、あえて「歴史総合、日本史探究」と「歴史総合、世界史探究」の双方を選択する受験生が一定数存在します。「地理探究」や「公共、倫理/政治・経済」との組み合わせに比べ、歴史総合の近現代パート(約100〜150年のグローバル近現代史)が完全に重複するため、近現代の学習効率を最大化できるという計算が働くためです。ただし、この戦略は高2の段階でどちらか一方の通史をほぼ終わらせているトップ進学校の生徒に限られた特権であり、基礎学力が追いついていない状態で両方を選択すれば、両科目とも共倒れになるリスクを孕んでいます。