手袋の導入と同時に採用されたのが「指を4本にする」という簡略化のアプローチだ。人間の手と同じ5本指を描かなかった理由は、大きく分けて二つ存在する。
一つは作画上の経済性とスケジュールの問題だ。1秒間に24フレームの絵を手描きで仕上げる作画作業において、指を1本減らす作業の短縮効果は計り知れない。伝説的なアニメーターであるアブ・アイワークスをはじめとする当時の作画スタッフにとって、膨大な作画コストを削減することは作品の量産において不可欠だった。
もう一つの理由は造形上の見映えである。創業者であるウォルト・ディズニーは生前、「小柄なネズミのキャラクターに5本の指を付けると、手がまるでバナナの束のように見えて不格好になってしまう」と語っていた。丸みを帯びたコンパクトな手には、4本指こそが視覚的に最もバランスが良く、可愛らしさを強調できる完璧な比率だったのである。