作詞・作曲を手掛けたフロントマンの山口隆は、タイアップソングを制作するにあたって、ありきたりな応援フレーズを並べることを徹底的に拒否しました。当時の制作エピソードや数々のインタビューで語られているのは、商業的な制約を飛び越えて「目の前のたった一人を本気で救うための言葉」を紡ぎ出そうとした執念です。
世の中に溢れる多くの応援歌は、「諦めなければ夢は叶う」「前を向いて笑おう」といった、耳当たりの良い言葉で鼓舞するスタイルが主流です。しかし山口は、自らが幾多の挫折を経験し、孤独に打ちのめされてきた表現者だからこそ、そうした安易な言葉が時に人を追い詰める凶器になり得ることを熟知していました。
制作当時、山口が目指したのは「格好をつけること」の完全な破棄でした。綺麗なメロディに乗せたスマートな応援ではなく、唾を飛ばし、額に青筋を立てて「君は絶対に間違っていない」と叫ぶこと。日産セレナのCMという「親が子を信じる眼差し」というテーマを受け止めつつも、山口自身の深層心理にあったのは、「どんなにボロボロになって周りから笑われようとも、命懸けで今を生きている人間の価値は絶対に揺らがない」という絶対的な人間讃歌でした。その強烈な熱量がスタジオセッションの中で音塊となり、聴く者の胸倉を掴むような唯一無二のトラックが完成したのです。