普通自動車の後部ナンバープレートに向かって左上のネジに必ず固定されているのが「封印(ほういん)」です。多くのドライバーが「なぜ前方にはなく、後方の左側だけなのか」という疑問を抱きますが、ここには自動車犯罪を防止するための綿密な法制度と構造設計が存在します。
最大の目的は、ナンバープレートの不正な取り外しや盗難、車両の偽装(いわゆる「天ぷらナンバー」の装着)を防ぎ、車両の同一性と所有権を公証することです。フロントバンパーは飛び石や軽微な追突事故で破損・交換される頻度が高いのに対し、リア回りはボディ骨格に直結してナンバーが強固に取り付けられています。後方左側のボルトを破壊しなければナンバーを外せない構造にすることで、公認された車両であることを一目で証明しているのです。
封印の表面を観察すると、漢字が一文字刻まれています。この刻印の意味は、その車両がどの地方運輸局(運輸支局)で正規に登録されたかを示す識別符です。例えば東京都なら「東」、神奈川県なら「神」、愛知県なら「愛」、大阪府なら「大」といった頭文字がプレスされており、管轄地域外での不正登録や偽造を瞬時に見破る手がかりとなります。
一方、街で見かける黄色いナンバーの軽自動車に封印がない理由は、法律上の位置づけが根本から異なるためです。普通車(登録車)は「道路運送車両法」に基づき、国が所有権を公証する「登録制度」が敷かれています。これに対して軽自動車は、軽自動車検査協会を窓口とする「届出制度」で運用されており、財産としての登録・公証義務が課されていません。そのため、軽自動車には封印を取り付ける法的義務が存在しないのです。