肺血栓塞栓症が極めて恐ろしいのは、予兆らしい予兆がないまま、劇的な自覚症状がある瞬間に突然現れる点にあります。最も典型的な肺血栓塞栓症の初期症状は、何の前触れもなく生じる「突然の呼吸困難(息切れ)」と「鋭い胸の痛み」です。深呼吸をしようと息を吸い込むと胸痛が増悪する(胸膜刺激症状)特徴があり、冷や汗、動悸、脈拍数の急増、失神(意識消失)を伴うことも少なくありません。
この発作の引き金となっているのが、下肢や骨盤内の深い血管に血栓ができる深部静脈血栓症(DVT)です。肺動脈が塞がれる直前、多くの患者が脚に特有の違和感を覚えています。以下の兆候が当てはまる場合、血栓がすでに血管壁から剥がれ落ち、心臓を経由して肺へと移動するカウントダウンが始まっている可能性があります。
見落としを防ぐためには、日頃から肺塞栓症の前兆チェックリストを手元に意識しておくことが大切です。「直近に長時間のフライトやドライブ、長時間の座り仕事をしたか」「片側の足だけが太くなっていないか」「階段を登る程度で説明のつかない激しい息切れが走らないか」という3点を照合し、1つでも該当すれば重大なサインと捉える必要があります。