楽曲が持つ圧倒的なドライヴ感と祝祭性は、いかにして誕生したのか。その核となったのが、ドラマーの富田京子による作詞エピソードと、メインボーカル&ギターを担当していた岸谷香(当時は奥居香)による作曲の相乗効果です。
富田京子が後年のテレビ特番や自著で振り返っている証言によると、歌詞のモチーフとなったのは、テレビの紀行ドキュメンタリー番組で目にした「アフリカの大自然と照りつける太陽」でした。日本の狭いリゾート地を想起させる枠組みを脱し、サバンナを吹き抜ける風や、地平線へと向かう旅のスケール感を歌詞に投影したことで、「8月の風を両手で抱きしめて」「赤道小町」ならぬ世界規模の熱情を描き出す独特の詞世界が結実しました。
一方、メロディを手がけた岸谷香は、洋楽ハードロックのダイナミズムと、歌謡曲が培ってきた日本人の琴線に触れる哀愁ポップスを絶妙に融合させました。Bメロからサビへと一気に視界が開けるようなコード進行(開放的なメジャーコードへの転換)と、息継ぎの隙間すら惜しむようなアップテンポのビートは、当時の音楽評論家からも「女性ボーカルの限界音域を突き抜けるエナジー」と高く評価されました。詞と曲が偶然の出会いではなく、バンドメンバー同士の濃密な対話から生まれたからこそ、時代を耐えうる強靭なマスターピースとなったのです。