阿波の土柱は、学術的にも極めて希少な地質遺産です。今から約100万年以上前、旧吉野川の氾濫によって堆積した礫(れき)や砂、粘土からなる扇状地が地殻変動によって隆起し、段丘を形成したのが始まりとされています。
その後、数万年におよぶ風雨の浸食作用によって、硬い礫層が傘の役割を果たして直下の土砂を守り、周囲の柔らかい層だけが削り落とされることで、無数の柱状・カーテン状の奇岩群が形成されました。この地質現象はヨーロッパアルプスのチロル地方、アメリカのロッキー山脈と並ぶ極めて珍しいもので、1934年(昭和9年)に国の天然記念物に指定されました。
現地には最大規模を誇る「波濤嶽」のほか、「橘嶽」「筵嶽(むしろがたけ)」「不老嶽」など複数の土柱群が存在し、地球の鼓動を今に伝える貴重な野外博物館の様相を呈しています。