礼服および喪服を正しく着こなすためには、性別ごとに定められたルールと小物の取り合わせを厳密に把握しておく必要があります。
男性編:ジャケットの型とVゾーンの鉄則
男性の準礼服(ブラックスーツ)には、シングルブレストとダブルブレストがあります。かつてはダブルがより重厚で格上とされる風潮もありましたが、現在ではシングル・ダブルによる格式の優劣はなく、体型や好みに応じて選んで問題ありません。現代ではスタイリッシュで着回しの利くシングルを選ぶ人が全体の約7割を占めています。
ジャケットのベント(背中のスリット)は、フォーマルでは「ノーベント」が正式です。ビジネス用のセンターベントやサイドベンツは動きやすさを重視した仕様であるため、この点もフォーマル専用ジャケットとの細かな違いとなります。
- ワイシャツ:慶弔問わずレギュラーカラーまたはセミワイドカラーの無地白シャツ。ボタンダウンや色糸ステッチ、カラーボタンはカジュアル仕様のため厳禁です。
- ネクタイ:弔事は光沢のない無地の黒タイ。慶事は白・シルバーグレー、または上品なパステルカラーのフォーマルタイを合わせます。
- 足元:内羽根式の黒ストレートチップ(革靴)が最もフォーマル度の高い基本形です。金具のついたビットローファーや外羽根のカジュアルなプレーントゥは避けます。
女性編:アンサンブルの機能性と露出制限の規律
女性の喪服(ブラックフォーマル)は、ワンピースにジャケットを組み合わせた「アンサンブル」スタイルが標準です。夏場はワンピース1枚で参列でき、春秋冬はジャケットを羽織ることでオールシーズン対応できる合理性を備えています。
女性の弔事マナーにおいて最重要視されるのは「肌の露出を抑えること」と「光沢を排除すること」です。
- 襟元と着丈:胸元の開きが浅く、座った際にも膝が完全に隠れる着丈(ふくらはぎの中間程度)が現代の基本マナーです。
- ストッキング:弔事では黒の無地ストッキング(原則として肌がうっすら透ける20〜30デニール程度)を着用します。60デニール以上の厚手タイツは防寒用カジュアルと見なされるため、厳冬期や体調不良等の特別な事情がない限り避けるのが礼儀です。なお、慶事では肌色のストッキングを着用します。
- アクセサリー:弔事で許容されるのは「真珠(パール)」のみです。ネックレスは「不幸が重なる」ことを連想させる二重・三重の連を絶対に避け、一連のプリンセスタイプ(40cm前後)を選びます。留め具やイヤリングの金具もシルバーやホワイトゴールドなど光を抑えたものが適しています。