風邪の初期症状が落ち着き始めた頃に「下を向くと目の奥や額がズキズキと痛む」「顔の片側だけが重い」といった症状が出現した場合、最も疑われる病態が副鼻腔炎です。
副鼻腔とは、鼻腔を取り囲む骨の中に存在する4つの空洞(上顎洞、篩骨洞、前頭洞、蝶形骨洞)の総称です。このうち篩骨洞や蝶形骨洞は、眼球が収まっている骨のくぼみ(眼窩)と、紙のように薄い骨壁を隔てて直接隣接しています。風邪のウイルスによって鼻粘膜が腫れ上がり、副鼻腔と鼻腔をつなぐ自然孔が塞がると、空洞内に膿や分泌物が充満します。これがいわゆる蓄膿症の症状です。
空洞内に溜まった膿が神経を圧迫すると、眼球の後方から突き上げられるような重圧感が生じます。典型的な兆候としては、ドロッとした黄色や黄緑色の粘り気のある鼻水、鼻づまり、頭重感、頬や眉間の痛みが挙げられます。万が一、副鼻腔の細菌感染が眼窩内部へ波及すると「眼窩蜂窩織炎(がんかほうかしきえん)」という重篤な合併症に発展し、視力障害や眼球運動障害を引き起こす危険性があります。単なる風邪のなごりと自己判断せず、鼻症状を伴う眼部痛には細心の注意を払わなければなりません。