ネット上の情報やインフルエンサーの発信の中には、制度の誤解を招く言説が少なからず存在します。特に注意すべきは「税金計算のルール」と「新NISAの2つの投資枠の性質」です。
通常の特定口座(課税口座)で運用する場合、株式・投資信託ともに売却益や配当・分配金に対して一律20.315%(所得税15.315%、住民税5%)の税金が課されます。両者ともに「損益通算(他口座の損失と利益を相殺して税金を抑える)」や「最長3年間の損失繰越控除」の対象となる点は共通しています。しかし、新NISAという非課税投資枠を活用するとなれば、両者の使い分け戦略はよりシビアになります。
新NISAには、年間120万円までの「つみたて投資枠」と、年間240万円までの「成長投資枠」が存在し、生涯非課税限度額は合計1,800万円(うち成長投資枠は最大1,200万円まで)に設定されています。ここで多くの人が陥る誤解が、「成長投資枠では個別株を買わなければいけない」という思い込みです。
金融庁の公式制度要綱が明示している通り、成長投資枠でもつみたて投資枠と同じ投資信託を購入することが可能です。つまり、個別株のリスクを取りたくない生活者は、1,800万円の非課税投資枠すべてを低コストの投資信託で埋め尽くす選択が完全に認められています。個別株で損失を出した場合、新NISA口座内では損益通算が一切できないというデメリットが存在するため、「リスクの高い個別株を新NISA枠で無理に買うこと」は、かえって非課税メリットを自ら破棄する結果につながりかねないのです。