山本美香氏のジャーナリストとしての実績は、国際的にも高く評価されていた。2003年のイラク戦争時、バグダッドのパレスチナ・ホテルが米軍の戦車から砲撃を受けた際、危険を顧みず空爆下の市民の惨状を日本へ伝え続けた功績により、権威あるボーン・上田記念国際記者賞の特別賞を受賞している。
彼女の取材姿勢は、自らを危険に晒すヒロイズムとは無縁だった。「現場へ行かなければ、市井の人々がどれほど苦しんでいるか世界に届かない」。その純粋な動機こそが、彼女を戦争ジャーナリズムの第一線へと駆り立てていた。報道機関が安全管理の観点から特派員を引き揚げるなか、フリーランスとして危険地帯へ入る覚悟と葛藤は、現在の報道界全体が直面する大きな課題でもある。