松坂屋名古屋店を語る上で欠かせないのが、本館・南館・北館の3館からなる広大な売り場面積(約86,758平方メートル)の立体構造です。現在のフロアガイドを俯瞰すると、それぞれの館が明確なターゲット設定のもとに再編されていることが確認できます。
特に象徴的なのが南館の構造です。上層階に構えるヨドバシカメラ マルチメディア松坂屋店(南館4階〜6階)は、導入当初こそ「老舗百貨店のブランドイメージと乖離するのではないか」という賛否両論を呼びました。しかし、現場の動線分析データを紐解くと、ヨドバシカメラを訪れる目的買いの男性客や若年層が、南館地下2階のキキヨコチョ(KiKiYOCOCHO)や本館デパ地下へと自然に流れる「垂直・水平回遊」の好循環を生み出しています。
一方で、北館は「大人の上質空間」としての独自路線を堅持しています。メンズファッション、ゴルフギア、そして国内外のアート作品を展示・販売する美術画廊が凝縮され、外商サロンとの連携によって高い客単価を維持。大衆的な利便性と最高峰のプレステージ性が館ごとにセパレートされているため、事前のフロアガイド確認を怠ると館内迷路に迷い込む利用者が後を絶ちません。