なぜ視聴者は、久保田悠来と貴島明日香の「結婚」をこれほどまでに現実のものとして信じ込んだのでしょうか。その背景には、モキュメンタリー恋愛番組特有の演出手法と、現代の視聴者心理が密接に絡み合っています。
『私たち結婚しました』シリーズは、脚本のないリアリティ番組の体裁を取りながら、番組側が用意する「ラブミッション」によって感情の揺らぎを引き出す構成になっています。久保田悠来の持ち味である「ユーモアを交えつつ相手を緊張させない包容力」と、貴島明日香が見せた「素の笑顔や安心しきった表情」は、台本を超えた本物の感情のやり取りのように映りました。
社会心理学的に見ても、視聴者は映像を通じて登場人物の感情に深く感情移入する「パラソーシャル相互作用」を起こします。「この2人にお似合いであってほしい」「この幸せな光景が嘘であってほしくない」という視聴者の願望が、いつしか「本当に結婚している」という認知の歪みへと変換されていきました。番組が終了した現在でもネット上で「妻」として名前が挙がり続ける現象は、俳優・久保田悠来のリアリティを創出する表現力の高さの証明でもあります。