ネット上の旅行ブログやSNSでは、時折「下鴨神社に比べて上賀茂神社は建物が地味」「アクセスが遠い割に見どころが少ない」といった不当な書き込みを目にすることがあります。しかし、これらは神道の歴史的文脈と境内の構造を誤解した典型的な偏見に過ぎません。
誤解1:「下鴨神社に行けば上賀茂神社は省略してもよい」
前述の通り、下鴨神社は母神、上賀茂神社は御子神です。古代から「両社詣で(りょうしゃもうで)」こそが本来の信仰形態であり、どちらか一方のみを参拝することは「片参り」とみなされてきました。とりわけ強烈な現状打破や厄落としを欲している場合、雷の神威を宿す上賀茂神社を外してしまっては、意図した結界の恩恵を完結させることはできません。
誤解2:「本殿が遠くからしか見えないから御利益が薄い」
上賀茂神社の国宝・本殿および権殿は、外側の幣殿(中門)の奥深くに鎮座しており、通常の一般参拝では直接社殿を目にすることはできません。これを「物足りない」と感じる訪問者がいますが、神道において神聖な神体を容易に露わにしないのは、神威の尊厳を守る最高位の形式です。どうしても至近距離で拝観したい場合は、神職によるお祓いと案内がセットになった「特別参拝(本殿特別参拝)」を申し込むべきです。通常非公開の内庭から国宝2棟を間近に仰ぎ見ることができ、その圧倒的な建築美と静寂に言葉を失うはずです。