里親募集プラットフォームを安全に利用する上で、法的な防壁となるのが「譲渡誓約書」です。しかし、この誓約書の内容や運用をめぐっても、現場では深刻な摩擦が発生しています。
取材によって集められた利用者の口コミからは、実務上の生々しいトラブルが浮き彫りになります。
「正式譲渡後も『月1回の写真送付』を義務付けられ、生活の変化で連絡が遅れたところ、深夜に詰問のメッセージが届いて精神的に追い詰められた」(30代女性・里親)
「個人間で猫を譲り受けたが、マイクロチップの登録名義変更に応じてくれず、半年以上も法的な所有権が曖昧なまま不安な日々を過ごした」(40代男性・里親)
ペットのおうちが提供する標準譲渡誓約書には、以下の主要条項が含まれます。
- 終生飼育の誓約と適正な飼養環境の維持
- 完全室内飼育(猫の場合)や定期的なワクチン接種の義務
- 事前合意のない第三者への再譲渡の禁止
- 飼育状況の定期報告(写真等による確認)
- 虚偽申告が発覚した場合の生体返還請求条項
動物法務に詳しい行政書士の解説によると、日本の民法上、動物は「動産(物)」として扱われるため、一度譲渡が完了して所有権が移転した後は、元の飼い主が一方的に個体を取り戻すことは極めて困難です。ただし、誓約書に明記された解除条件に違反した場合や詐欺行為が認められる場合は、契約解除および所有権移転の無効が成立する可能性があります。
安易にサインをするのではなく、「定期報告の頻度と期間」「自宅への訪問確認の有無」「緊急時の返還条項」など、双方が合意できる現実的なラインを事前に擦り合わせることが、後々の法的トラブルを防ぐ絶対条件です。