波乱万丈の半生をくぐり抜けたトーニャ・ハーディングは現在、メディアの狂騒から遠く離れたワシントン州南西部の静かな田舎町で暮らしています。年齢は50代半ばを迎え、その生活は驚くほど穏やかです。
2010年、彼女は木工関連の仕事に従事するジョセフ・ジェンス・プライス(Joseph Jens Price)と3度目の結婚を果たしました。カラオケバーで出会ったというプライスは、彼女のスキャンダラスな過去にとらわれず、ありのままの人柄を受け入れたと語られています。そして2011年、トーニャが40歳の時に待望の長男であるゴードン(Gordon)を出産しました。
「息子の母親になれたことが、私の人生における最大の金メダル」と近年の手記や特番インタビューで告白している通り、彼女の生活の中心は家族にあります。かつて氷上で世界を震撼させたアスリートは、現在では自宅のデッキや家具を自ら工具で修理し、息子の学校行事に参加するごく普通の母親としての日常を守り続けています。
追放処分から長い年月が経ち、時折チャリティイベントやアイスショーのゲストとして氷上に立つことはあるものの、プロスケーターとしての第一線に戻ることはありませんでした。しかし、過去の過ちや消えないスティグマ(烙印)を背負いながらも、家庭という安全な居場所を見出した彼女の姿は、どん底からの人間再生の一つの形を示しています。