理学療法士・作業療法士の国家試験過去問において、トレンデレンブルグ徴候は「運動学・臨床医学」の超頻出領域です。国試の引っ掛け問題として典型的なのは、「右中殿筋麻痺の患者が右足で片足立ちした際、どちらの骨盤が下がるか?」という問いです。正解は「左側(遊脚側・健側)の骨盤が下制する」となります。
臨床におけるトレンデレンブルグテストの標準的プロトコルは以下の通りです。
【検査手順】
1. 被検者の背後に立ち、左右の上後腸骨棘(PSIS)または腸骨稜の最高点に検者の親指を当てて水平ラインを確認します。
2. 被検者に片側の股関節を約90度屈曲させ、片足立ちを指示します。
3. 支持脚で直立した状態で、約30秒間姿勢を維持させます。
【判定基準】
・陰性(正常):支持脚側の中殿筋が即座に収縮し、挙上側の骨盤が水平、もしくは支持側よりわずかに高位へ保持される。
・陽性(異常):支持脚側の中殿筋が耐えられず、挙上側(浮かせた側)の骨盤が水平線より明らかに下降する。同時に体幹を支持側へ傾ける逃避動作が見られた場合はデュシェンヌ陽性と記録します。
徒手筋力検査(MMT)との相関においては、側臥位で行う股関節外転MMTが「レベル3(重力に抗して全可動域運動可能)」であっても、トレンデレンブルグ徴候が陽性となるケースが多々あります。MMT3は「自重の脚を持ち上げる力」に過ぎず、片足立ち時に要求される「体重の3倍に拮抗する支持力」とは必要とされる筋張力の次元が根本的に異なるためです。