堅あげポテトを含むカルビー製品がこれほどまでに連続改定を余儀なくされた理由は単一の要因ではありません。同社が発表してきた一連の価格改定プレスリリースおよびIR決算資料を精査すると、菓子製造業界を取り巻く構造的な三重苦が浮かび上がってきます。
第一の要因は、主原料である国産ばれいしょ(ジャガイモ)の調達環境と栽培コストの急騰です。堅あげポテトは厚切りにしたジャガイモを低温でじっくり揚げる特殊製法を用いるため、原料芋の品質やデンプン含有量への要求水準が通常のポテトチップスよりも厳格に設定されています。近年の猛暑や台風といった気候変動リスク、さらには生産農家の高齢化や化学肥料・燃料の価格上昇が、契約栽培農家からの調達コストを直接押し上げました。
第二の要因は、食用油脂と包装資材の歴史的価格高騰です。揚げ油に使用される植物油脂(パーム油、米油等)は、主要産地における生産調整や世界的なバイオ燃料需要の増大に伴い調達価格が高止まりを続けています。さらに、製品の命である酸化防止バリア性能を保つアルミ蒸着フィルムや外装段ボールの資材費も連動して高騰しました。
第三の決定打となったのが、物流関連費用の構造的増加です。「物流の2024年問題」に端を発するトラックドライバー不足と労働時間規制は輸送効率の見直しを迫り、北海道などの大産地から全国の製造工場、さらには各配送センターへの幹線輸送コストを恒常的に押し上げました。カルビーは生産工程の自動化や配送ルートの共同化など徹底したコスト削減努力を重ねてきたものの、企業努力のみで吸収できる限界を超えたことが度重なる改定発表の文面に滲み出ています。