インターネット上の古い飼育マニュアルやSNS上の噂には、現代の獣医学基準では否定されている誤解が数多く散見されます。愛猫の命を危険に晒さないために、代表的な3つの誤謬を是正します。
【誤解1】「鼻が濡れていさえすれば、病気にはかかっていない」
これは最も蔓延している危険な神話です。猫ヘルペスウイルス感染症(FVR)の初期やアレルギー性鼻炎の発症初期には、鼻粘膜が過剰に刺激され、むしろ普段の何倍も分泌液が分泌されて「ツヤツヤと健康そうに濡れている」ように見えます。見るべきは濡れ具合の有無ではなく、「分泌液の量」「滴り落ちていないか」「頻繁に舐めていないか」という動的な変化です。
【誤解2】「市販の人間用点鼻薬や目薬を少量なら差しても良い」
これは致死的な過ちです。人間用の鼻炎スプレーに含まれる血管収縮剤(ナファゾリンやオキシメタゾリンなど)は、猫の血圧を急激に上昇させ、急性心不全やショック死を引き起こす猛毒となります。また、抗ヒスタミン剤や防腐剤の成分も猫の肝臓では解毒できません。必ず獣医師から処方された猫専用の点鼻液や点眼薬のみを使用してください。
【誤解3】「乾いているときはワセリンやハンドクリームを塗れば治る」
人間用の保湿クリームには猫にとって有害な添加物や香料が含まれていることが多く、猫は塗られた異物を執拗に舐め取って胃腸障害を引き起こします。生理的な乾燥であれば放っておけば数十分で自然に潤いますし、病的な乾燥であれば根本原因(感染症や脱水)を治さない限り表面を油分で塞いでも逆効果です。