ネット上のコミュニティや闘病ブログ、SNSでの生々しい告白を調査すると、食べているのに痩せていく初期段階において、多くの当事者が「致命的な正常性バイアス」に囚われていた実態が浮かび上がります。
大手コミュニティ掲示板で話題となった30代男性の手記には、次のような生々しい証言が残されています。
「もともと肥満気味だったため、3ヶ月で8kg体重が落ちた時は『最近通勤で歩いている成果が出た』と手放しで喜んでいました。ラーメンを食べても白米をおかわりしても体重が増えないので、無敵の胃袋を手に入れたと錯覚していた。しかし、夜中に何度も喉が渇いて起きて2リットルの清涼飲料水をがぶ飲みするようになり、ある朝ベッドから自力で起き上がれなくなって救急搬送。診断は重症の2型糖尿病とケトアシドーシスでした。医師からは『あと数日放置していたら昏睡状態だった』と告げられ、血の気が引きました」
また、20代女性によるバセドウ病の闘病記録でも、同様の心理的盲点が語られています。
「食欲が凄まじく、普段の1.5倍食べているのに鎖骨が浮き出て周囲から心配されました。動悸や手の震えは『仕事のプレッシャーやカフェインの摂りすぎ』と思い込み、微熱が続いてもただの疲労だと片付けていた。内科を受診して甲状腺機能亢進症と分かった時には、心臓への負担が限界に達していました」
これらの告白が物語るのは、「食べているから重病のはずがない」という強固な思い込みです。食欲が保たれていること自体が隠れ蓑となり、初期治療のゴールデンタイムを逃してしまうケースが極めて多いのです。