スピードが上がらない当事者を観察すると、決して知能や職務適性が著しく劣っているわけではありません。むしろ真面目で責任感が強い人物ほど泥沼にはまりやすいという逆説的な現実が存在します。仕事が遅い人の特徴を詳細に分析すると、明確な3つの行動パターンが浮かび上がります。
第1の特徴は、完璧主義と作業効率のトレードオフを理解できていない点です。社内向けの簡易な連絡用スライドであるにもかかわらず、フォントやレイアウトの微調整に何時間も費やしてしまうケースがこれに当たります。80点の完成度で素早く共有すべき段階で、独り善がりの100点を目指して抱え込み、結果として締め切りを破ってしまいます。
第2の特徴は、着手のハードルを自ら上げてしまう「着手遅延」です。全体像が完璧に見通せないと最初の一歩を踏み出せず、デスクの前で延々と悩み続けます。段取りを整えることにエネルギーを使い果たし、実作業が後回しになります。
第3の特徴は、手戻りの多さです。作業の着手時に依頼者と「ゴールイメージ」のすり合わせを行わないため、提出後に根本的な修正を命じられ、作業時間が2倍にも3倍にも膨れ上がります。仕事が遅い原因と改善策を突き詰めるには、こうした思考のバイアスを自覚し、手順の標準化を図ることが不可欠です。