極めて単純な3画の文字であるにもかかわらず、土の書き順 間違いやすい理由には、脳の空間認識と手書きの癖に起因するいくつかの罠が潜んでいます。
教育現場や文字指導の専門機関が実施した書字意識のヒアリング調査などを見ると、1画目を「縦」だと誤認してしまう大人の多くは、無意識のうちに「十字を先に完成させてから、下の横棒を足している」という作業プロセスを辿っています。まず中央に「十」の骨格を作り、その後に底辺に線を引いて閉じるという認知の順序が定着してしまっているケースです。
また、行書や草書といった崩し字を書く書道経験者の中には、筆の脈絡(気脈)を優先するあまり、縦画から入る崩しに慣れてしまい、楷書の筆順と混同してしまうケースも散見されます。さらに、スマートフォンやパソコンによる文字変換が日常化した現在、文字を「線の重なり」ではなく「1つの完成されたグラフィック記号」として捉える傾向が強まったことも、筆順の記憶を曖昧にさせる大きな要因となっています。