教育関係者の間で広く知られているのが、「中2ショック」と呼ばれる学力格差の拡大現象です。中学校の数学カリキュラムにおいて、中学2年数学証明問題(三角形の合同条件を扱う単元)が登場した途端、それまで平均点以上をキープしていた生徒の成績が急降下するケースが後を絶ちません。SNSや教育系Q&Aサイトを検証しても、「方程式までは得意だったのに、図形の証明に入った瞬間に学年順位が50位落ちた」「先生の解説を聞いても、なぜその順序で文を書くのかが全く理解できない」といった生々しい告白が溢れています。
教育メディア「まなぶーす」等の調査や現場の塾講師への取材によると、証明問題が解けない理由は、それまで慣れ親しんできた「数値を計算してひとつの答えを出す処理作業」から、「言葉と記号を論理的に組み立てて説明する言語化作業」へと学習の性質が180度変わる点にあります。認知心理学の観点から見れば、図形全体を眺めながら複数の合同条件を思い出し、同時に日本語の接続詞を構成しようとすることで、脳のワーキングメモリが過負荷を起こして機能停止に陥っている状態です。
決して数学的な才能が欠如しているわけではありません。「数式を解く脳」から「論理の道筋を他人に説明する脳」へのスイッチの切り替え方を知らないまま、いきなり応用問題に挑まされていることこそが、脱落者が急増する真の構造的原因です。