SNSや動画プラットフォームでは、実験動画感覚で「除光液(アセトン)をかけると一瞬で発泡スチロールが溶けて消える」「ヒートガンやドライヤーの温風を当てれば手のひらサイズに縮む」といった裏ワザが拡散されることがあります。しかし、これらは住環境と命を危険に晒す極めてリスクの高い行為です。
発泡スチロールを溶かす有機溶剤として紹介される除光液に含まれる「アセトン」は、引火点がマイナス20℃以下という極めて揮発性と引火性の高い危険物です。締め切った室内で大量の発泡スチロールを溶かそうとすれば、気化したアセトン蒸気が室内に滞留し、給湯器の種火や静電気火花一つで爆発的火災を引き起こす恐れがあります。さらに吸入による急性中毒や頭痛・めまいの危険も伴います。
化学的に溶かして生じたドロドロの残渣(スライム状のプラスチック塊)の処理も極めて困難です。排水口に流せば配管内部で固着して大規模な下水詰まりを引き起こし、乾燥して固まったとしても、自治体の収集員からは「中身不明の危険廃棄物」と判断され回収を断られるケースが相次いでいます。
ドライヤーや熱風機を用いた熱収縮も同様です。発泡スチロールの軟化点は約90〜100℃ですが、ドライヤーの近接温風は100〜120℃に達します。温度コントロールが極めて難しく、家庭内で行えば焦げ付きによる刺激性の強い有毒ガス(スチレンモノマー蒸気)が発生するほか、最悪の場合は熱変形したプラスチックが床や衣服に焼き付いて火災事故に直結します。「溶剤で溶かす」「熱で縮める」といった化学的アプローチは、家庭ゴミ処分の現場においては絶対に避けるべき愚策です。