豊前裏打会を口にした人々が例外なく驚嘆するのが、麺の見た目と食感です。一般的な白いうどんとは異なり、薄い黄色を帯びた半透明の麺は、茹でたての段階で陶器のように艶やかな光沢を放ちます。
この特異な麺質を生み出しているのが、徹底した温度管理と熟成工程です。厳選ブレンドされた小麦粉を練り上げた後、第一段階として定温でじっくり寝かせ、さらに第二段階として低温冷蔵庫内で数十時間に及ぶ熟成を重ねます。これによりグルテンの結合が極限まで整い、口に入れた瞬間は滑らかにすべり込み、噛み締めると「モチッ」と押し返してくる官能的な粘りゴシ(弾性)が生まれます。
さらに、注文を受けてから生地を延ばして切り、大釜で一気に茹で上げる「切りたて・茹でたて」の徹底が鮮烈な食感を支えています。茹で置きは一切行わず、茹で上がりのベストな数分間のみを提供する姿勢が、この至高の喉ごしを担保しています。
出汁は、羅臼昆布、鰹節、鯖節、ウルメ節などを贅沢に使い、九州特有の甘みを帯びた醤油で調和させた芳醇な仕上がりです。この澄んだ極上出汁に鎮座するのが、裏打会の代名詞である「ごぼ天うどん」です。
薄くスライスされたごぼうを放射状に美しく並べ、職人が中華鍋のような特殊な揚げ鍋と技を駆使して揚げる円盤状の巨大かき揚げは、器を完全に覆い尽くすほどのインパクトを誇ります。揚げ油の鮮度にも妥協がなく、驚くほど軽やかな食感を実現。最初はサクサクとしたスナック感覚を楽しみ、次第に出汁の熱でしんなりと溶け出してコクを深めていく味の変化は、計算し尽くされた食のエンターテインメントといえます。
卓上に備え付けられた薬味にも並々ならぬこだわりがあります。一般的な一味唐辛子ではなく、国内契約農家で栽培された希少な唐辛子を用いた「黄金唐辛子(おうごんとうがらし)」や、山椒をブレンドした「おちゃら麻辣」などが用意され、鮮烈な辛味と香りで出汁の旨味をさらに引き立てます。