これほどの名作を生み出しながら、なぜしずるは頂点に届かなかったのか。その要因として、大会の構造や審査システムとの相性が挙げられます。
2009年・2010年の大会では、準決勝敗退芸人100名が審査員を務めるシステムが採用されていました。同業者による審査は「構成の巧みさ」や「後半の爆発力」をシビアに評価する傾向があり、しずるが持つエモーショナルな演劇性や思春期の空気感は、笑いの手数や圧倒的な伏線回収を重視するコンビ(東京03やキングオブコメディ)に対して、わずかな加点の差を許す要因となりました。
また、2010年大会で見られたように、1本目で張り詰めたシリアスな空気のコントを成功させた後、2本目でトーンの異なるコミカルなネタを選んだ際のギャップが、審査員の好みに左右されやすかった点も指摘されています。しかし、松本人志をはじめとするトップクリエイター陣からは、そのシチュエーション設定の妙と鋭利なワードセンスに対して常に極めて高い評価が与えられていました。