桂小太郎というキャラクターは、一歩間違えればただの滑稽な道化に堕ちてしまう極めて難解な役どころだ。幕末の志士然とした凛々しさと、常人には理解不能な天然ボケが同居するこの男を、岡田将生は見事なバランス感覚で我が物にした。
トレードマークである長髪をなびかせ、真剣な眼差しで放たれる名台詞「ヅラじゃない、桂だ!」。映画館の客席からは、歓声と笑いが同時に漏れた。整った顔立ちが醸し出すノーブルな雰囲気をあえて台無しにするような間の取り方は、岡田自身のコメディセンスと役者としての胆力があってこそ成立した奇跡と言える。
実写化においてファンが最も恐れるのは「キャラ崩壊」だが、岡田が演じた桂には原作への深い敬意と血肉が宿っていた。シリアスな殺陣で見せる鋭利な眼光と、相棒・エリザベスを愛でる姿のギャップに、原作読者も即座に白旗を上げたのである。