「最初は少しズキズキする程度だったので、市販の湿布を貼って仕事を続けていた。気づいたときにはペットボトルのキャップすら激痛で開けられなくなっていた」――これは、都内のスポーツ整形外科を受診した40代会社員の痛烈な証言です。ネット上のコミュニティやQ&Aサイトでも、「痛みを我慢して筋トレを続けたら箸を持つのも辛くなった」「朝起きると小指が固まって動かしにくい」といった悲鳴に似た声が後を絶ちません。
臨床に携わる整形外科専門医は、現場の実態について次のように警鐘を鳴らします。「肘の痛みで受診される患者の約6割は、発症から1か月以上経過して慢性化させてしまっています。腱の付着部は血流が比較的乏しいため、一度炎症が定着すると組織の変性が進み、自然治癒に長い期間を要する傾向があります」。
さらに深刻なのは、肘の痛みを放置するリスクです。ゴルフ肘を放置して負荷をかけ続けると、腱の断裂や石灰沈着を招き、難治性の疼痛へと進行します。また、肘部管症候群の初期症状である小指のしびれを放置した場合、手のひらの筋肉(骨間筋や母指内転筋)が徐々に萎縮していきます。親指と人差し指で紙をつまもうとすると親指の第一関節が不自然に折れ曲がるフロマン徴候が現れ、最終的には指がまっすぐ伸びなくなる「鉤爪指変形」へと至る危険すらあるのです。しびれを「疲労のせい」と片付けるのは、極めて危険な行為と言わざるを得ません。