麻生太郎氏の文字がこれほどまでに世間の注目を集め、時に驚きをもって語られる最大の理由は、2008年から2009年にかけた第92代首相在任時の「漢字読み間違い(誤読)騒動」との強烈なギャップにあります。
当時、国会答弁や公式記者会見において、「踏襲(とうしゅう)」を「ふしゅう」、「未曾有(みぞう)」を「みぞうゆう」、「煩雑(はんざつ)」を「ひんざつ」、「有無(うむ)」を「ゆうむ」と読んだ場面が連日ワイドショーやニュース番組で大々的に報道されました。この一連のメディア報道により、世間一般には「漢字が苦手」「教養に疑問符がつく」というネガティブなパブリックイメージが定着してしまった経緯があります。
しかし、その後SNSの普及とともに、麻生氏が公の場でしたためた直筆サインや毛筆の画像が拡散されると、状況は一変しました。「漢字が読めない政治家」という刷り込みを持っていた層が、そのあまりにも格式高く洗練された手書き文字を目にしたことで、「この筆跡の美しさは何なのか」「漫画の主人公のようなギャップだ」と驚嘆し、急速な再評価が進んだのです。